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【楽曲】2人のストーリー / YUKI

今日は、YUKIが2010年に発表したシングル「2人のストーリー」。

 

YUKIといえば、JUDY AND MARYの元ヴォーカリストとして有名。

解散後はソロワークでアリーナクラスのツアーを回ったりでその人気は健在。

バンド時代の「OVER DRIVE」や「そばかす」みたいな明るいロック!の楽曲も魅力的だけど、物心ついた時には既に解散していたJAM世代ではない自分にとっては、どちらかというと「YUKI」としてソロになってからの曲が好きです。

YUKIとか聴くんだ意外...って100回くらい言われてるけど)

 

なかでも一番好きなのが、この「2人のストーリー」

 

この曲の魅力はなんといっても、冒頭のレトロなレコード音ぽさから入って徐々に明るい展開になるんだけど、どうしても残るアンニュイな雰囲気。

歌詞のストーリーとしては、おそらく同棲してるカップルの男性目線で物語は進むんだけど、なにより全体を通して生活感が良い意味で溢れてて生々しいのです。

 

"待ち合せはローソンで おにぎりを2つ買って家"

”繋いだ指をワンスモアタイム 行き止まりで口づけしたんだ"

"君の機嫌は天気雨 どしゃぶりなら中央線で"

 

初っ端からローソンと中央線が出てくる...なんならどちらもほぼ毎日お世話になってるよ。

リスナーが普段から利用している固有名詞が出てくるから、身近に感じやすいし自然と話に入り込みやすくないですか?

 

"君を想い 幸せを願い 暮れ行く黄昏の中にいた"

"生きてるそれだけが代わりのいないストーリー"

"いつまでも 君の横顔見てた”

 

はい、サビです。

共通事項が、全て過去形で描かれている点。

このストーリーというか2人の恋は、現在進行形なのか、終わってしまって振り返っているのか、どちらにも読み取ることができることがまた面白い所だと思います。

2人の関係性の輪郭がぼんやりと見れた所で物語は2番へ進みます。

 

"浮気をしては仲直り そしてそれは酷い間違いだった"

"暮らし始めたら なにかが変わるような気がした"

"君の古着のスカートをまくしあげたら愛を”

”じれったいような愛を 渡しあった夜は薔薇色"

 

生々しさに拍車が掛かる。

まあこれってもう2人は「してる」じゃないですか?

でもいやらしさとか感じなくて、むしろ綺麗に言葉を選びつつ状況を描写している点がYUKIすげーってなりました。

また古着のスカートって所がリアルでいいですよね、リズリサのスカートとか出てきたら勝手によろしくやってろってなります。

 

"物語は進む 2人の思い通り"

"最後のページ 開かれないストーリー"

 

物語は2人の思い通りに進む(はずだった)

だけど、結局 理想通りには進まず主人公の彼が思い描いた未来を2人で歩くことはできなかった...という感じでしょうか。

 

途中まで聴いていると、『浮気しても仲直りはして、愛も確認しあって、と順風満帆にハッピーに進んでいくじゃん』と思いつつ、最後でなんとなく雲行きが怪しくなる匂わせ方がとても好きです。

そう簡単に物事は進まないよっていうのを上手く伝えているし、身をもって感じるから余計に感情移入できるというか。

 

このあとに大サビが来るのですが、そこは是非 聴いていただいて物語のエンディングを想像してほしいです。

前述したとおり 私自身は、『2人に馴染み深かった場所を通ったりする度にこの終わってしまった恋を振り返りつつ、彼女の幸せを今も願っている男性の歌』に感じました。けど周りの友人は「まだ続いてるでしょこれ」という正反対な意見もあって、違う視点で見ていておもしろかったです。

 

とりあえず主人公の男性、女々しいわ。(でも最高に推せるし好きだよ)

 

 

p.s.

 

そういえばこのMV作りが凝っているんですよ。

YUKIが男装をしていて、俳優の加瀬亮さんが女装しているというまさかの逆転の配役。

自分はこの曲、有線放送で聴いて知ったのでMVの存在は後から知ったのですが、全編 モノクロ調な感じから漂うやや暗めな世界観はぴったりだし、想像していた感じに描かれていてとても好きな感じでした。聴いてみてください。

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